民話

蒼島と冠者島

 むかし、むかし、そのむかし、若狭湾をひとまたぎできるほど、それはそれは大きな仙人がおりました。
 ある日、この仙人は、ちょっと思いついた事があって、麻殻の両端に、小さな山をつきさしました。二つの山は、形も大きさも大変よく似ていました。「これは、いいぐあいだぞ。」と言って、ぐんわら歩いていきました。
 ちょうど、加斗あたりまでやって来たときです。仙人は、ちょっと足をとられてしまい、ズズーンとしりもちをついて、こけてしまいました。そのひょうしに、肩にかついでいた麻殻が、まっぷたつに折れてしまいました。両端につきさしてあった小山は、ドップーン、ザップーンと水柱を立てて、海に落ちてしまいました。
 そのうちの一つは、麻殻がささっていた方が下になり、大島のところに落ちました。
それが、今の冠者島なのです。
 また、もう一つは、麻殻がささっていた方が、上になったために、穴があいているそうです。これが、松原の先に見える蒼島なのです。蒼島に穴があいていいるのは、こうゆうわけがあるのです。

【鯉川地区】