軽度認知障害(MCI)について知ろう
軽度認知障害(MCI:Mild Cognitive Impairment)とは、日常生活では支障がなく、正常とも認知症とも言えないものです。分かりやすく言うと「認知症の予備軍」です。
MCIの5つの定義
1.本人または家族から記憶障害の訴えがある
2.日常生活動作は自立
3.全般的な認知機能は正常
4.年齢や教育レベル影響のみでは説明できない記憶障害が存在する
5.認知症ではない
(MCIコンセンサス会議(1999年,Chicago)で提案された健忘型軽度認知機能障害の操作的診断基準)
すなわち、記憶力に障害があって物忘れの自覚があるが、記憶力の低下以外に明らかな認知機能の障害がみられず、日常生活への影響はないかあっても軽度のものである場合です。
MCIの症状を知ろう
MCIは健常な老化状態から認知症に移行する前段階と考えられます。
MCIの時期に低下する機能は主に「エピソード記憶」・「注意分割機能」・「計画力(思考力)」の3つがあります。
「エピソード記憶」
過去の経験や体験を記憶して思い出す機能
「注意分割機能」
同時に進行するいくつかの物事に対して、適切に注意を振り分ける機能
「計画力(思考力)」
行動がうまく遂行できるように目標を設定し、計画を立てるなど、行動を管理する力
MCIで見られる症状の具体例
・昔から知っている人や物の名前が思い出せない
身近な人の名前が思い出せない。「あれ」や「それ」などの代名詞を使って話すことが増える。
・約束や予定を忘れる
外来受診日を間違えたり、薬の管理ができなくなる。
・物を置き忘れたり、戸締りなどを忘れたりすることが多くなる
財布や鍵をどこに置いたか思い出せない。鍵をかけ忘れたり、ガス栓を閉め忘れたりする。
・最近の出来事を忘れることがある
数日前に家族と出かけたことを忘れたり、電話に対応した直後に電話がかかってきたことを忘れる。
・興味・関心や積極性が低下する
好きな習い事に行くのを嫌がったり、理由をつけて休もうとする。
・物事の段取りが悪くなる
料理に時間がかかったり、味付けがいつもと違う。
・会話がついていけなくなる
相手の表情などを読み取ることができない。会話の内容が分からなくなる。
MCIは認知症予防の大事なポイント!
厚生労働省は、認知症の予備軍とされるMCIの人口は約400万人いると推計しています(平成24年度時点)。MCIの人の10%から15%程度が1年後には認知症になると言われています。
しかし、MCIの段階で早期発見し、適切な治療・改善を行えば回復するという調査報告もあります。また、MCIになったとしても認知機能低下に対する適切な対策を行うことで、認知症の症状が最後まで出ずにすむケースもあります。
MCIの段階で認知機能の低下にいち早く気づき、予防対策を行うことで症状の進行を阻止することがとても大切です。
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