ふるさとの民話3
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てんぐのつめ
むかし むかし、矢田部の寺の和尚さんが、月夜にえんがわへ出て
「わしの碁のあいてをするものが こないか。」
と、考えていた。
そこへ大きな おとこがあらわれた。
「だれじゃ!。」
と、和尚さんは 大ごえをあげた。
「わしじゃ、この山のてんぐじゃ!。」
「なんの ようがある。」
和尚さんが、たずねると鼻の高い、目のするどい一本ばのげたをはいた、てんぐが ちかづき、
「こら!、ぼうずこん夜の碁のあいては このわしじゃ。」
和尚さんは、うなずいた。やがて二人は、碁をはじめた。てんぐはつよく、碁の名人の和尚さんをせめたてた。
しばらくすると、和尚さんがもりかえし、こんどは、てんぐが おいこまれた。てんぐはおこって、
「その石 まった!。」
とかみなりのようにどなった。和尚さんはびくともせず、
「まった なし!。」
と、いった。すると和尚さんをめがけて、てんぐの大きなゆびのつめが、はもののようにおそいかかった。
おしょうさんは、すばやく体をかわし、てんぐをとりおさえた。
このとき、てんぐの長いつめが碁ばんに、ふかくつきささった。
碁にまけた てんぐは、うら山へにげかえった。
この碁ばんは、いまも羽賀寺に大切にのこされている。
小浜市連合婦人会 発行 「ふるさとのえばなし」より
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