ふるさとの民話1
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ワシにさらわれた子
下根来の村里で、夫婦が赤んぼうを、フゴに入れて、畑しごとに、むちゅうになっていた。
すると山のみねから、大きなワシがまいおりてきて、赤んぼうを、フゴのままさらって空高く とびたった。
夫婦は、ワシを追ったが、山のむこうにみえなくなった。
子をさらわれた この夫婦は、泣きながらさがしにでかけた。
どこへ行っても、だれにたずねても、ワシにさらわれた子どもを、みかけた人はなく、おしえてくれる人もいなかった。
ふるさとの若狭をあとにして、わが子をさがしあるいて、あちこちを旅しているうちに、いつのまにか、夫婦はとしをとってしまった。
それでも、子どもにあうため、あきらめずに、旅をつづけた。
あるとき、道づれになった旅びとが
「奈良の東大寺の杉の上に、フゴに入った子が、ひっかかっていたという 話をきいたことがある。」
と、おしえてくれた。
それをきいた夫婦は、
「きっと、その子がわたしの子にちがいない。」
と、東大寺へといそいだ。
野みちや山みちを、かけるようにいそいだ。
東大寺の和尚さんにあい、子どもをさがして若狭から、はるばるきたことを話した。
和尚さんは、
「この寺の大杉にひっかかっていた 子というのは、この小僧です。」
と、夫婦の前へよびよせた。
夫婦が、その子がきていた着物やフゴのことをたずねると、和尚さんは、着物とフゴをだしてみせた。
それをみて夫婦は、わが子にまちがいないと、泣いてよろこんだ。
すると、小僧は、なつかしそうに、
「若狭根来の鵜の瀬の水がほしい。」
と、いった。
このことから、奈良の「お水取り」行事の水は、若狭からくぐって行くという、いいつたえがうまれた。
この小僧は、やがて良弁和尚という名高いお坊さんになった。
小浜市連合婦人会 発行 「ふるさとのえばなし」より
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