ふるさとの民話2
やおひめさん
むかし、若狭の海べの、あるところに高橋ごん太夫という金もちがいた。
あるとき、ごん太夫の家で宝くらべをした。
その友だちのひとりが、
「こんどは、わたしの家にきてください。」
と、ある日の夕ぐれ 舟でむかえにきたので、ごん太夫はその舟にのってでかけた。
舟には、うすいきぬのようなものが おおいかぶさって、ふしぎにもその舟は、海水をくぐって はしった。
舟のついたところは、みたこともない、竜宮城のような、りっぱなやしきだった。
ごん太夫が、この家のりょうり場をのぞくと、家のものが人魚をりょうりしていた。
やがて、ごちそうに人魚のやき肉が出てきた。
ごん太夫は、きみわるくて、人魚の肉には、手をつけず、ほかのごちそうをたべてかえることにした。
すると、主人はみやげに人魚の肉を、ごん太夫にわたした。
ごん太夫は、家にたどりつき、もらったみやげを、こっそり 戸だなの上においた。
ところが、この家のむすめが、そのみやげものを たべた。ひと口たべると、とてもおいしく、ちょっとくい ちょっとくいして、みなたべた。
それから、このむすめはふしぎになん年たっても、美しいすがたのままで、いつのまにか八百歳までも長生きした。
むすめは、尼さんになり、日本国中をめぐりあるき、行くさきざきでツバキの木をうえた。
若狭へかえってみると、とっくに きょうだいや、友だちも死んでいた。
そこで、さみしくなって 海の近くの寺のそばにある、ほら穴に入った。
ほら穴の入り口に、白ツバキの木を一本うえ、「ツバキの木がかれたら、私が死んだと思ってください。」
と、いいのこした。
それからこの場所を、白玉椿とよび、長生きの神さまとして、八百姫さんがまつられた。
小浜市連合婦人会 発行 「ふるさとのえばなし」より
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