旧若狭街道沿いの三宅地区の集落にある江戸時代の建造物です。農家の点在する地域にあって、その素朴な姿は区のシンボルとして親しまれています。
建築年代は江戸時代末期、天保7年(1836)に三宅で大火があり、その後ほどなく造られたものと考えられています。やぐらは三間四方の切妻地蔵堂の屋根上に増築した形であり、堂の東側妻壁に沿わせて立てた2本の丸太で梯子(はしご)を造り、頂部に小さな鐘楼風のものが造られています。地蔵堂を傷めない造り方は独特であり、他の類例を見ない貴重な建築となっています。愛宕神社は京都の愛宕山上にあり、火除けの神として街道沿線各地に勧請されました。内部の地蔵堂には愛宕地蔵がまつられており、街道沿いの農村の火伏信仰と日常生活を感じさせます。
また、火の見やぐらを載せる地蔵堂の左側には、棟を直行する形で接続する簡素な木造平屋建ての火の見やぐら倉庫があります。倉庫の建築年代は昭和初期です。
平成8年(1996)の文化財保護法の改正にともない、国の文化財登録制度が創設されましたが、これらの建物は若狭町内においては初めての登録物件です。