文化財情報

三方五湖

記念物(名勝) / 若狭町

国名勝三方五湖は三方湖、水月湖、菅湖、久々子湖、日向湖の5つの湖とその周辺域、常神半島を含む若狭湾に面した海岸部から構成されています。海と繋がっている日向湖岸の日向浦や、常神半島の遊子、小川、神子(御賀尾)、常神は、鎌倉時代には漁業や製塩業、廻船業が盛んに行われ、海産物流通における大きな影響力を持っていました。これらの浦々から鯛やイワシ、アワビなどの海産物が「若狭の美物(うましもの)」として丹後街道を経由し若狭街道を使って都に送られていました。
 また久々子湖付近には、小浜の港が開発される以前、平安時代中期から鎌倉時代にかけての間、日本海航路の重要な港として利用されていた「気山津」があり、ここで荷揚げされた物資は若狭街道・熊川経由で都へと運ばれていました。
 さらに、江戸時代初期には三方五湖のうなぎは、「若州うなぎ」として京都で珍重されていました。江戸時代後期の記録には、熊川を通って京都まで、街道沿いの宿場に置かれた生簀を使って、生きたまま京に運ぶという画期的な物流が行われていました。

【もっと詳しく…】
 三方五湖の原形が誕生したのは約20万年前、地殻変動や気候変動の影響を受けて、現在の形になったのは、1500年ほど前とされています。5つの湖は、運河やトンネルによってつながっていますが、海水の混ざり具合で塩分濃度はそれぞれ異なり、三方湖は「淡水湖」、水月湖・菅湖・久々子湖は「汽水湖」、日向湖は「海水湖」となっています。そのため、棲息する魚類も少しずつ異なります。また、五湖は野鳥の越冬地として知られ、カモ類を中心に多くの冬鳥が観察でき、さらにそれらを追って毎年飛来する国の天然記念物のオオワシや、オジロワシの越冬地の南限としても有名です。このように、四季を通して自然豊かな三方五湖のすばらしい景観を、湖上遊覧船や遊歩道、レインボーラインなどから楽しむことができます。常神半島の大音家所蔵古文書(神子)は、平安時代後期から明治時代に至る浦々のようすを伝える地方文書(県指定文化財)です。三方五湖最大の湖、水月湖の湖底には、7万年に及ぶ年縞堆積物(1年に1縞ずつ形成される湖の年輪にあたる)が残されており、その研究データが地質学的年代の世界標準として利用されています。

Photo1

Photo2

Photo3


小浜市・若狭町日本遺産活用推進協議会福井県小浜市若狭町

Copyright© 小浜市・若狭町日本遺産活用推進協議会 All Rights Reserved.