文化財情報

熊川葛の製作技法

無形文化財(工芸技術) / 若狭町 / 【構成文化財】熊川宿

葛(くず)は、成長力の強いマメ科の蔓草(つるくさ)で、山野のいたるところに自生しています。秋の七草の一つとされ、「万葉集」などにも詠まれています。その根からとれる葛粉は貴重な食料として重宝がられてきました。江戸時代の「稚狭考(わかさこう)」に「葛は熊川にて製すること昔よりありたり」とあり、元禄6年(1693)ごろ著述の「若狭郡県志」には「葛粉」として「熊川村並ニ河内村ヨリ出ス、多ク京師(けいし)〔みやこ〕二売ル」とあります。
 また、天保元年(1830)に儒学者の頼山陽(らいさんよう)が、京都で熊川葛を求め、広島の病床の母宛に送っています。その時の手紙に、「熊川は吉野より余程上品にて調理の功是(これ)あり」と、熊川葛を絶賛しています。厳冬の最中に、しかも熊川の美しく豊かな水を用いて精製されたが故の、高い品質です。
 その製造技術は地元の熊川葛振興会により、伝え続けられています。


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