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谷田寺


木造千手観音菩薩立像 1軀


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指 定 所在地 管理者
昭和61.6.6 国指定 小浜市谷田部 高野山真言宗谷田寺


 泰澄大師が養老5年(721)小浜の地で神告を受け、自分で彫られた千手霊像を安置して開かれたと伝える谷田寺は、盛時12坊を擁した真言宗の古刹で、室町時代末期までは天台宗に属していた。
 像高179.4p。榧材の寄木造、頭上に十一面を頂き、合掌・宝鉢の真手を持つ通形の四十二臂像で、頭・体部とも彩色のない素地仕上げの檀像様彫刻で、同じく素地の蓮華台座に立つ。面貌は彫眼で厳しく張りのある表情を現わし、左胸前に折る条帛や、大腿部から裳裾にかけて彫出するU字形の衣褶の冴えにみられる明快で、のびやかな刻技、均整のとれた体つきと、裳を着た姿など、明らかに平安時代の古像の影響を受けて作られた鎌倉時代の優品である。なお、調査に際し像内から、多くの摺仏が発見されたが、納入の時期は定かでない。
 構造は、頭・体幹部を通して前後で矧ぎ、千手はそれぞれ肩・臂・手首などで接合する。光背(漆箔)は舟形、飛雲透し彫りで左右2枚を正中線で矧ぎ寄せる。全体に破損・欠失や後補も少なくないが、秘仏として伝世されたため、幸いにもほぼ完好に近い姿をとどめている。