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高成寺


木造千手観音立像 1軀


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指 定 所在地 管理者
平成24.9.6 国指定 小浜市青井 臨済宗南禅寺派高成寺


 高成寺は足利尊氏が暦応2年(1339)に若狭小浜に建立した安国寺であり、元僧竺仙梵僊の法嗣大年法延を迎えて開山とした臨済宗の名刹である。
 本像は、高成寺観音堂の本尊として安置される等身の十一面千手観音立像である。この観音堂の開創について記録はないが、江戸時代に入ってから編纂された『若狭郡県志』に「伝言、此像旧在遠敷下宮之傍、一日山伏某奪取之去、土人尋求之時、投斯像于湯川水中、(中略)然携彼像到青井村、置山下、後遂為斯堂之本尊、始投水中之時、像前額小破、故加笠於頭上矣」と記されている。
 この記述からすると、本像が古くは遠敷の若狭姫神社の傍にあったことが判明し、『延喜式』記載の若狭姫神社(遠敷明神)本地仏千手観音との関連も推しはかられる。
 本像は像高181.0pで、彫眼とし、胸や腰に十分な厚みをもたせ、下腹を張り出すことや、天衣や裳には彫りの深い幅広の波と小波を交互に刻み、衣端に旋転文が見られる。構造は、やや右に曲った木芯を含む桧の縦材から全身を彫り出し、内刳りを全く施さないなど極めて古風な造りである。このような構造や、下半身が寸詰まりに見え裳裾地付部分の左右への張り出しも大きいなどから、平安時代初期の9世紀後半頃の製作と推定される。
 当初は大振りの脇手を伴い均整の取れた堂々たる四十二臂千手像の美作であったと推定され、若狭地域における千手観音像の最古作例として注目される。