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空印寺


空印寺薬医門 1棟


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指 定 所在地 管理者
昭和63.1.21 市指定 小浜市男山 曹洞宗空印寺


 この薬医門のある空印寺は小浜藩主酒井家の菩提寺で、孝心の篤かった二代藩主忠直が、父忠勝の七回忌法要を執り行うに当り、在来の堂舎では手狭なため、菩提所にふさわしい壮麗な伽藍を造営したという記録がある。その七回忌は寛文8年(1688)で、当薬医門もその際建立されたものであるが、他の諸堂はこの後たびたびの大火に類焼してすべて失われ、いまはこの門だけが当時のおもかげを止めている。建立位置は当初のままでなく、現在地への移築は近年のことである。
 当薬医門は欅造り、屋根は切妻瓦葺である。偏平な本柱(59.8p×32p)2本を前方に建てて冠木を乗せ控柱(22.7p角)2本を後に並べて、その上に梁と桁を架け渡している。前方は梁先を持出してその上に出桁を乗せ、梁上には藩主酒井家定紋(若狭剣片喰紋)を陰刻した豪壮な板蟇股を両妻に配している。棟は本柱と控柱の中央より前に位置しており、通常の正面一門の薬医門となっている。
 この門に付属する両側の袖塀もその一部を残し、また欅造りの潜門も設けられている。門扉も欅造りで、鉄金具を装着するなど極めて玩丈に造られている。屋根には酒井家定紋や替紋の井桁をあしらった鬼瓦、軒平瓦が残されており、これらは小浜城跡出土の瓦と同様に、官の御用瓦窯で焼かれたものである。
 当門は創建当初の姿をよくとどめており、当地方の近世建築の様相を知る上で貴重な建造物である。