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長源寺


絹本著色弥勒菩薩像 1幅


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指 定 所在地 管理者
明治34.8.2 国指定 小浜市酒井 日蓮宗長源寺


 当寺は室町時代初期日源上人によって創められ、初め後瀬山麓にあったが、大永2年(1522)守護武田元光が後瀬山城を築くために、今の地に移転せしめて寺号を向島山と称した。住持は寺内17僧坊を擁したというが、次第に衰え、かつまた寺域も縮小せられるの悲運に遭って今日に至っている。
 本画像は明治34年(1901)8月、大日如来図像として国宝に指定されたが、今は弥勒菩薩として重文指定となっている。保存も極めて良く、全国に絹本弥勒菩薩像の数少ない中に、優れた画像として甚だ貴重であり、地方に古くより伝えられているけれども、万徳寺の弥勒菩薩像と同じように、円中に弥勒菩薩の坐した一般像に属する図形であって、まことに濃厚な彩色の画像である。光背にのみ切金を用い、他は金泥で画いてある。端麗な相貌の上に肉色の肌色が軟らかくみえ、紺青の垂髪が目立って美しく浮かんでいる。また両膝には此の時代によく用いられた麻の葉の模様があり、前に垂れている布片に上品な松葉くずしの唐草模様が画かれている。まことに濃厚な色彩と画面の鮮明な点は万徳寺画像に較べて男性的といえる。また、五色を使いわけた五輪塔を持っていることに注意したい。制作年代は万徳寺画像と同時代の鎌倉時代中期と思われる。画絹の寸法は縦86.1p×横58.2pである。