若狭小浜のデジタル文化財 TOP 文化財とは デジタル文化財図録 - 用語解説 文化財マップ 小浜の歴史 文化財年表 戻る
羽賀寺


木造十一面観音菩薩立像 1軀


※画像クリックで拡大写真



<IMG src="map/hagaji.png" width="250" height="200">
指 定 所在地 管理者
明治34.8.2 国指定 小浜市羽賀 高野山真言宗羽賀寺


 本像の特色のひとつは、当初の色彩がきわめてよく残っていることで、それ故に全国的に知られている。肉身部は黄白肉色、宝冠は代赭色、眉や眼は墨描、天衣には朱や緑が用いられている。寺伝では、この極彩色の観音さまを、勅願の御施主、女帝元正天皇の御影としている。
 像高146.4p、ほぼ等身に近い。桧材の一木造りで、胸部には干割れが入っているのがよく伺える。像は、両肩の張りも大きく胴部をつよく引締めて、一木彫成の古像らしい肉どりを示し、裳裾の衣文にも平安初期彫像の風をうけて翻波式の衣文(大きな波と小波を交互にくりかえす)を刻み、加えて条帛の垂下部と裳の折返しが交叉するさまを刻み、衣文の装飾的な意匠にはすこぶるみるべきものがある。
 しかし平安初期の作例と比べると、頭部も体部も奥行が減じて、むしろ軽快にみえ、また目鼻だちのすっきりと典雅なあたりをみれば、制作は10世紀のものと考えてよい。ただ垂下する右手がすこぶる長目で、膝に達するあたりも、貞観彫刻の例にならったものと認められ、その指先が外に反りかえるあたりも古風である。