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明通寺


紙本著色彦火火出見尊絵巻 全6巻

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指 定 所在地 管理者
平成11.4.23 県指定 小浜市門前 真言宗御室派明通寺


 この絵巻は、古事記や日本書紀にみえる兄火闌降命の海幸と弟彦火火出見命の山幸の神話を潤色したもので、彦火火出見尊(若狭彦神社祭神)と海神の女豊玉姫(若狭姫神社祭神)との婚姻説話であり、その子鸕鶿草葺不合尊の誕生に至るまでの物語りである。
 『看聞御記』の嘉吉元年(1441)4月16日の条に、この絵巻の原本(2巻本)が若州松永庄新八幡宮に在り、後崇光院が帝に進覧のためにこれを借出したとの記述があり、その中にも古くすぐれた絵とあるから、原本は恐らく平安末期の作と推定されるものである。更に降って寛永17年(1640)には、これが3巻本となり明通寺の什宝となっていたものを、藩主酒井忠勝が将軍家光に献上したため、忠勝は狩野種泰に命じてこれを模写して6巻本となし、詞書は足立勝興に楷書せしめたものが本絵巻であり、その原本は既に現存しない。
 記紀の神話を主題とした絵巻としては、今日ある唯一の例である事も貴重であり、模写体とはいえ、その原本の失われた今、日本美術史上にも重要な意味をもつものといわれている。画面は狩野派の極彩色な重厚さがあり、色彩構成も濃厚で華麗さがある。
 全巻とも、縦32.4p×総長5076.1p、56紙よりなり、表紙は紺地に菱と菊を交互に織り出した緞子で、見返しは、金箔を一面に貼りつけた布目折菊唐草文様、本誌は鳥ノ子紙に近い間似合紙である。第6巻末には狩野大学藤原種泰画之㊞と筆者の自署がある。