若狭小浜のデジタル文化財 TOP 文化財とは デジタル文化財図録 - 用語解説 文化財マップ 小浜の歴史 文化財年表 戻る
若狭彦神社


紙本墨書詔戸次第 1巻


※画像クリックで拡大写真



<IMG src="map/wakasahiko.png" width="250" height="200">
指 定 所在地 管理者
昭和48.6.6 国指定 小浜市遠敷 若狭彦神社


 祝詞(のりと)は神祭儀式の中枢をなすもので、古典では古事記上巻に「布刀詔戸」延喜式には「天津祝詞之太祝詞事」などとある。
 当社伝来のものは、紙数で7紙、縦30.1p、全長339.6pの巻子仕立であり、料紙は斐紙を用い、表紙は焦茶地花文緞子(江戸後補)で、書写は通巻一筆、首に「詔戸次第」と内題して「上下宮御祭詔戸」以下「山途申次第」に至る。併せて14項の詔戸及びその次第などを収めている。本文は宣命体風で、まま片仮名を交え、文中には返点、朱句点があり、全文に亘って稠密な傍訓を同筆で注記する。内容は若狭国司や在庁官人が若狭彦大明神に奉った詔戸を中心に、同社の恒例祭、毎月朔日祭の詔戸から、北陸道御封使の詔戸などを収め、中世における若狭国神事の大様を伝えている。文中、恒例祭の祝詞に建長7年(1255)国司神拝の詔詞に建歴2年(1212)の年紀があり、巻末に記された乾元2年(1303)は、これらを集録書写した時を示すものであろう。
 祝詞の伝来は延喜式(905〜927)巻八を主とするが、現存する祝詞の巻の古写本では、鎌倉時代初期をもって最古とすることから、当初の「詔戸次第」は本県最古は勿論、全国的にも貴重な遺例といわねばならない。