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多田寺


木造四天王立像 4軀

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指 定 所在地 管理者
平成17.5.6 県指定 小浜市多田 高野山真言宗多田寺


 多田寺は、明通寺・羽賀寺などと並ぶ名刹だけに、仏像が多い。特に貴重な三尊像を中心に十指にあまる仏像を祀ってあることは、恐らく質量ともに若狭屈指の仏像の宝庫といえる。
 四天王4体は、本堂内陣の須弥壇四隅を守る護法神として安置されている。寺伝では4体とも奈良時代天平勝宝の頃の造像という。いずれも彩色を施しているが、後世の補彩であるのは惜しまれる。しかし本体そのものの作は優秀であり、像容には特色がある。
 邪鬼の頭を右足で踏み、左足で臀部を押し潰す勢を示した持国天は、右手に太刀を執って振上げ、左手は腹前に掌を仰ぐ。はげしい動きをみせる袖の端が天部の活動的な気迫を示す。像高116p、持物を失っているのが惜しい。
 左手を高く上げて刀を把り、右手に矛を持つ増長天像は、像高118p。
 右手に筆を持ち、左手に巻子を托す広目天像は典型的な造形で、四天王中、最も像高が高く123p。
 左手に宝塔を捧げる多門天は、像高115p。
 四軀とも、面奥、体奥がすこぶる厚く、太づくりで、しかも裳裾があまり風になびかず、重々しく下方に垂れるさまなど、天部像としては古風で、制作は平安時代としても前半期のものと考えられる。
 作風が地方作らしく、粗豪なだけにより重厚さが誇張されているともいえよう。