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多田寺


木造薬師如来立像 1軀


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指 定 所在地 管理者
昭和42.6.15 国指定 小浜市多田 高野山真言宗多田寺


 医王山多田寺は、奈良時代孝謙天皇の勅命によって建立されたと伝え、昔は12坊があり、朝廷より寄進田16haもあったというが、江戸初期に二度の火難にあい、今の本堂は江戸末期の建築である。
 本尊薬師如来は、近年まで絶対の秘仏として公開の許されない信仰の対象であった。9世紀前半の作とみられ、千年来の古仏として県下でも著名の仏像である。
 像の総高は本体と共木の蓮肉を含めて216p、像高192.5pの大作である。
 この像の特色は、童顔というに近い相好と、衣文の神護寺薬師如来立像(国宝 平安初頭の代表作の一つ)に似た意匠で、面相を拝するとややさがり目の素朴な両眼の表情と、微笑みをうかべるようにみえる小さめの唇に特異の表情がある。
 衣文は両脚の間にU字形の衣文を重ねる意匠が、平安初期の特色の一つで、その外側にみられる茶杓形の衣文もその頃の一典型を示している。
 本体と足下の蓮肉を共木につくっている構造も古式であり、若狭に残る木彫像の中では、屈指の古像で、多田寺に伝える歴史の生きた証人といっていい。