中名田地区の概要 ホームへ戻る
自然特性
中名田地区は、福井県小浜市の最西南端に位置し、北緯35度26分、東経135度48分に位置しています。海抜はおよそ80mで東部は小浜市口名田地区に、北部は小浜市加斗地区及び大飯郡おおい町(旧大飯町)に、南部と南西部も大飯郡おおい町(旧遠敷郡名田庄村)に接しております。四囲は延々と波行した山脈で区画され、東西約13km、南北約4.5km、総面積はおよそ32平方kmで、その87%が山地です。その細長い地形の西から東へ田村川が、東から西へ深谷川が流れ、いずれも南川に合流しています。
これらの流域に小屋(おや)、上田(かみた)、下田(しもた)、和多田(わだた)、深野(ふかの)、深谷(ふかたに)の6区が散在しています。
周囲の山々は人工林(杉)が多くみうけらます。
気候は、北陸気候区に属し、日本海側気候ですが、若狭湾沿岸を流れる対馬海流の影響を受け、比較的温和、温暖といえます。また、地形、寒暖差等の影響か霧がとても濃くなる日があります。
現在は国道となっていますが(国道162号)、南川に沿って走る道路が京都との交通の要路であったことから、風俗、習慣、言語など文化的に、また歴史的にも京都とのつながりが深く感じられます。
全体としては自然豊かな農山村と言えます。


深谷区の山から小屋方向へ向けて撮影
(上田区の一部まで眺望可能)
歴史
山間部の小地域で、旧誌にも散見されるのみですが、以下に二つの記述を紹介します(中名田郷土誌より抜粋)。

『若狭国志』
深谷(谷口、田茂谷)、和多田(上和多田、下和多田、及大瀬)田(上下あり)、小屋(上下あり、広瀬)、三重村の小名(深野、関屋、市場、兵瀬、秋輪、山田、小野池)
以上の五村は名田の庄に属し、また富田郷(とだのごう)と呼ぶ。
和多田村、田村、小屋を今、田村谷という。
田村の内の小名は次の通りで、いづれも人々が住む。脇原、山左近、岸、清水、竹本、持田、小村、見谷、岩井谷。

『郡県志』
持田小村三谷岩井谷以上上田村なり、
岸山迫脇原塩瀬清水竹本以上下田村也

そもそも”田村”の地名は、平安時代の武将でもある坂上田村麻呂に由来し、ゆかりの寺院も存在します。
深野遺跡(縄文時代前期)が示す人の生活痕跡に始まり、平安時代初期には在京貴族の荘園として活発に開発され始めたと考えられています。その後鎌倉時代には在京寺院所有の荘園となり、荘園領主の力が衰退に入る室町期には若狭武田氏が守護となり支配します。
若狭武田氏は本能寺の変で明智光秀に与したため、丹羽長秀により滅ぼされます。その後は丹羽長秀が小浜城主となり、江戸時代には酒井氏が小浜藩主となり明治維新まで続きます。
その後、明治22年に中名田村となり、昭和26年に小浜市に統合され現在に至っています。
何千年、何百年の歴史を秘めて我々の祖先はこの中名田地区に眠っています。美しい山河、昔ながらの暖かく真面目な人間性、この中名田の良さが、必ずやいつの日か若狭の脚光を浴び発展するであろうことを私たちは願ってやみません。
坂上田村麻呂
坂上田村麻呂建立の田村薬師(長田寺)
交通・情報通信等
主な交通としては、国道162号線と県道岡田・深谷線(県223号)の2路線のみとなっています。
特に県道岡田・深谷線は、現在のところ小屋地係で行き止まりになっており、生活・通勤や交流面でのマイナス要因になっているため、隣接するおおい町への早期開通が望まれています。
国道162号線は、深谷〜相生間において急峻な山腹を通ることから、がけ崩れ、南川への車両転落、冬季路面凍結など危険な点が多く、改良も含めた整備が期待されています。

インターネットについては、地元ケーブルTVによる接続サービスが行われております。
携帯電話につきましては、平成20年4月に小屋区に光ケーブルを活用した基地局が開設(NTT)され当地区に不感問題を抱える区はなくなりました。


中名田児童館前162号線沿設置看板
農林業・環境など
かつては、製炭、製紙、養蚕等がさかんな地域でした。
農業については、農業者高齢化と担い手不足、米価下落や獣害の深刻化などによる生産意欲減退で休耕田(耕作放棄地)が増加し、地域農業を取り巻く環境は厳しいですが、平成30年10月に担い手組織『一般社団法人中名田』が設立され、土地改良を含めた地域農業課題への取組が進められております。
林業については、材価下落による植林地の資産価値低下が、森林所有者の経営意欲を大きく衰退させており、自伐所有者は存在しません。1950〜60年代に植栽された林分は伐採適期ですが、未間伐林分も少なからず見受けられ、森林組合に委託した作業路開設と間伐搬出が行われております。

間伐遅れの林分
林床の照度不足は下草が生えず、表土流出につながり、水源かん用、災害防止に悪影響を及ぼします。
人口の動向
 国内多くの山間・中山間地域が抱える問題を共有しており、若年層流出による少子高齢化が進行しております。
小浜市内における高齢化率が最も高い地区になっております。


下記リンクを参照ください。
・地区人口