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小浜中学校洗心館(旧福井県立小浜尋常中学校図書館)
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指 定 |
所在地 |
管理者 |
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平成23.7.25 国登録 |
小浜市雲浜2丁目 |
小浜市 |
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小浜中学校は若狭湾に注ぐ北川の河口右岸先端の景色の良い敷地に建てられている。この敷地は、明治30(1897)年に福井県立小浜尋常中学校の発足に伴い旧藩主酒井家から寄附されたもので、同33年9月に新校舎が完成している。県立小浜中学校は戦後の教育制度の変更に伴って昭和23(1948)年に若狭高等学校として引き継がれて敷地を変えて移転し、旧制の県立小浜中学校の敷地・建物は新制の小浜中学校に引き継がれた。
敷地南東部の正門を入るとすぐ右側に建てられている小浜中学校洗心館は、昭和7(1932)年に県立小浜中学校図書館として建設されたものである。『若狭高校80年のあゆみ』によると、この図書館は昭和3年に県立小浜中学校校友会総会において御大典記念図書館として建設することを決定し、同6年11月の入札により芝金吾が3,190円で落札し、同年12月に上棟、翌年4月に竣工し、6月27日に中学校への譲渡式が挙行されている。
平面は正面(梁間)5間(約9.1m)×側面(桁行)8間(約14.5m)の長方形で、柱は外壁に整然と配置され、寄棟造桟瓦葺の屋根は木造のキングポストトラスで支えられている。柱間は出隅を半間として、桁行の他の柱間は1間とする。隅柱以外は梁間・桁行とも外側に添柱を設けてボルト締としている。この添柱を方立として建具を取り付け、板張壁も柱の外側に取り付けた大壁であるが、真壁風のデザインで仕上げている。建具は引き違いのガラス窓を入れ、壁は横張の南京下見板とドイツ下見板を使い分け、壁面上部は漆喰塗とした整然としたものである。内部は現在武道場として板張の上に畳を敷いて大きなひとつの部屋として使われているが、当初は桁行を二分し、前面5間と背面3間に分けられていたことが知られる。それぞれの天井は、周囲を細巾の板張、中心を大きな漆喰塗として、中央に4つの三角形を張り出した中心飾りを設けている。
小浜中学校洗心館はこのように一部改造はあるものの、建築当初の状態を良く残した形姿の整った昭和初期の近代洋風建築であり、官庁営繕組織の技師が設計者であることも当時の建築界の状況を示す好例である。 |
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