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指 定 |
所在地 |
管理者 |
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昭和59.2.17 市指定 |
小浜市谷田部 |
高野山真言宗谷田寺 |
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谷田寺観音堂に向って右手前の山麓に鎮座の山王社は、その昔、泰澄大師が鎮守として日吉神を勧請したに始まると伝える。現在の社殿は寛政7年(1795)再建の一間社流造で、社殿上に高く覆屋を架し、稍前面に拝殿を付設する。木造狛犬は社殿前室に嵌まる菱格子の中、内陣に接して左右に蹲踞(うずくまる姿)し、正中に対している。配置は、向って右に阿形(開口の獅子)、同左に吽形(閉口の狛犬・無角)の通例とする。
像高53.5p。桧材の寄木造。彫眼。全身は胡粉に彩色を施すが、多年の風雪に殆ど剥落して僅かに痕跡を止め、また像の破損・欠失や後補も少なくない。
像は阿形、吽形とも少し前屈みに前肢を交互に立て、後肢も少し開脚してうずくまり、鋭く撥ね上げた短かい尾先は多裂する。頭部の鬣(たてがみ)は豊かな束となって背面の半ばを覆い、阿は耳を伏せ、吽は耳を立て、眉を撥ね上げた目は爛爛として高く眼球を飛出させ、吽は結び、阿は唸って、巧みに咆哮の獰猛を制御し、胴は肋を浮出して引き絞り、一瞬の躍動に寸隙のない緊張した前後肢や、鋭い爪の刻みなど、精悍の気に満ちた颯爽たる形姿の中に、沈潜した静けさを秘める造形は見事である。
本像の制作は、恐らく平安時代末期であろう。台座は遺存せず、当初の有無も定かでない。
構造は、頭体部を三つに矧ぎ、その前部のみ略正中を矧いで内刳りし、前顔部・後肢外側・足先をそれぞれ接合する。
狛犬は、神社社殿の内外に置かれる一対の守護獣で、正しくは「獅子・狛犬」と呼ばれるが、その名称、表記にも異同があり、また形状もさまざまに作られている。
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