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指 定 |
所在地 |
管理者 |
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昭和61.6.6 国指定(附指定) |
小浜市谷田部 |
高野山真言宗谷田寺 |
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高台に建つ収蔵庫内の向って左側に、毘沙門天立像が安置されている。
毘沙門天は護法神の一つで、四天王のうちの多聞天と呼ばれる北方の守護神であるが、独尊又は本像のように脇侍として祀られる場合は、毘沙門天として尊崇される。
像高135.5p、武装忿怒、通形の二臂像で、檜材の寄木造、玉眼を入れる。全身の彩色は後補もあるが、当初のものも良く残り、昔の華麗さを偲ばせる。
頭髪は、髻で束ねて高く結い上げ、目を怒らせ、口をへの字に堅く結ぶ忿怒の相で、右手を高く挙げて戟を持ち、左手は屈臂して掌の上に宝塔(後補)を捧げる。
体幹部は獣皮の甲で武装し、腹前には獣面の獅嚙を刻出、胴部は天衣で堅く緊縛し、腰甲の上にU字型の孤を表わす。腰は強く左に引いて右膝を屈し、左足は力強く一歩を踏み出して、腰部を極端に脹らませる。両臂の鰭袖は先を結ばぬ古式の形制で、激しく風を受けて翻り、裳裾も風を孕んで、大きく後に脹らむ躍動の姿勢を執り両足下に邪鬼を踏む。
構造は、頭部を右頬から左耳後にかけて斜めに矧ぎ、体幹部は正中線で左右に矧ぎ寄せ、両手はそれぞれ肩と手首で接合し、足下の邪鬼は一木で彫出する。
全体に損傷も少なくないが、洗練された巧みな彫技や古式を残す迫力に満ちた造形の冴えも見事で、制作は中尊とほぼ同時期の鎌倉時代と推定される。
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