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高成寺


絹本著色大年和尚頂相図 1幅


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指 定 所在地 管理者
大正3.4.17 国指定 小浜市青井 臨済宗南禅寺派高成寺


 絹本著色のこの1幅は縦121p×横52pの軸物である。二重の桐箱に保管されている。
 本画像は安国高成寺開山の法延大年和尚の頂相である。頂相とは禅宗の祖師や先徳を描いた肖像画のことであるが、鎌倉時代から南北朝室町時代に至る頃は、しきりに描かれて欠くことの出来ない相伝絵画となった。歴代和尚の肖像画を揃えている寺院も稀ではない。
 何故これが描かれたか、それは禅宗では「不立文字」「直指人心」を本義とするため、一師一証の面授によって、その法系が継承されたとするのである。そのため師の印可状と師および法を意味する頂相を尊重したのである。そして画の上部に賛を付けるのが原則となった。
 大年和尚の入滅したのは貞治2年(1363)であったから、その前後に描かれたものとすれば南北朝時代の作である。作者は不明であるが、賛は大年の自賛ではなく、後に若狭守護で発心開基となった武田元光の子で京都建仁寺に出家した春沢永恩が書いている。弘治2年(1556)のものである。
 頂相にはいずれもけばけばしいものはないが、本図像は著色とはいえ、全体的に色彩は柔かい調子で、線のタッチも強くなく、バックの丸紋は淡い朱の衣と相俟って悟の境にある大徳を落着いたものにしている。安坐する大年和尚の境地をうかがうに足る優品であろう。