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正法寺


銅造如意輪観音半跏像 1軀


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指 定 所在地 管理者
昭和52.6.17 県指定 小浜市大原 真言宗泉涌寺派正法寺


 この正法寺の観音は、平安末期の縁起物語に登場する。元暦元年(1184)、佐渡島巡検使船に忽然と現われてその使命を果させた老翁が、帰還着岸の間ぎわ、小浜港坂尻浦にて我を信ずること篤く久しかったことを謝して入水した。ところがその後、夜々海中に金色の光がさすので、その浦の長、大橋五郎左衛門なるものが海中に入り、光り耀く仏像を脇に挾んで拾い上げ、堂を上山に建てて奉安した。そして浦の名を仏谷と改め、長の名を脇左衛門と称するようになったと伝える。
 法量は像高57p、坐高33pの小像で、重量は36.4sである。
 当地の正林庵如意輪観音半跏像とそのポーズが同様で、三面頭飾のある冠をいただき、半跏思惟の姿を示し、一見すると上代の金銅仏にみえるが、その相好はすこぶる理知的で、上代のほとけの、ほのぼのとした表情にくらべると、よりするどく、写実的であり、またまる型の台座にかかる裳の衣文などもリアルに表現されている。指先などの巧みな造型も、おのずから上代のそれとは異ってみえる。
 本像は、鎌倉時代に流行した上代古像の摸刻像として注目される作例であり、それ故に価値が高い。