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長英寺


石造五輪塔 1基


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指 定 所在地 管理者
昭和51.1.22 市指定 小浜市太良庄 曹洞宗長英寺


 太良庄賀羅嶽の山麓に、悠遠の草創を伝える閑雅な門景の長英寺がある。石造五輪塔はその裏山、通称御所の森とよばれる樹林の中央に東面して造立されている。
 『若狭国志』は長英寺と五輪塔について「初め御所寺と称し墓を御所墓と云う 寺辺に館址あり古昔高貴の人の居所也 此の寺の由来今知る者無し」と伝える。
 この五輪塔は花崗岩製で総高172p、地輪は低平で古式を示し、水輪は壺形、空風輪は一石彫成で、地輪にはかすかに銘文が残るが磨滅著しく判読は不可能である。
 塔は正面に「キャ」「カ」「ラ」「バ」「ア」の五大の種子を、他の3面にもそれぞれ定義の種子を薬研彫にし、もって胎蔵界大日如来の三摩耶形(仏菩薩の内証の本誓を示現するもの)を表わしている。
 五輪塔は万物構成の五大要素を、地(方)、水(円)、火(三角)、風(半円)、空(団)の五輪形に具象化したもので、それ自体が宇宙真理の表現とされ、またその四面は、東―発心門、南―修行門、西―菩提門、北―涅槃門の四門を表示して、仏心発念より成仏解脱の過程を表わす。わが国では平安末期より鎌倉時代の発展期を通じて全国的な造塔の盛行をみたが、本塔もその例外ではなく各部の様式、梵字の字体、彫法などからみて明らかに鎌倉後期の製作のものと推定される。