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正林庵


銅造如意輪観音半跏像 1軀


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指 定 所在地 管理者
大正7.4.8 国指定 小浜市太良庄 正林庵


 北川の右岸を遡ること約4qのところに『東寺百合文書』で知られる太良庄がある。
 銅造如意輪観音半跏像を安置する正林庵は、この太良庄の山麓にある。
 本像は、正しくは「菩薩半跏像」と呼ばれる金銅仏で、像高33p、その造像は8世紀の天平時代といわれ、大正7年(1918)に旧国宝、いまの重要文化財に指定されている。もちろんこの地方での最古の金銅仏であり、県内に現存するものは他に例がない。
 須弥山をかたどった台座に腰をかけ、右脚をまげて左ひざの上にのせ、左脚は下げて蓮の花をふまえ、右肘をひざに托して指先は軽く前かがみの頬にあて、人の世の来し方、行く末を考えている思惟型である。
 大ぶりの三面頭飾のある冠をいただく、童顔童身の姿はいかにも奈良時代前期の特色をよく示しており、また蠟型による鋳造で、胸飾りの花文様などには、蠟型特有のやわらかさが残っていて、精巧な作といえよう。
 なおこの仏像を地元の太良庄では「甚兵衛観音」と呼んでいる。これは4度の盗難に遭ったが不思議と無事戻ってくるため、最初に仏像をとり戻した庄屋、高鳥居甚兵衛の名前にちなんで名付けたものである。