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羽賀寺


紙本墨書羽賀寺年中行事 1冊


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指 定 所在地 管理者
昭和34.9.1 県指定 小浜市羽賀 高野山真言宗羽賀寺


 羽賀寺に秘蔵される古文書は甚だ多い。巻物や綴本として特に著名なものに、羽賀寺縁起と年中行事がある。
 楮紙を袋綴じにした縦30p×横20.9pの和本である。表紙ともに57枚から成っているが、表紙1枚と奥8枚は元禄頃に補い綴じたものである。
 外表紙に『当寺年中行事』と標題し、本浄山羽賀寺常住の書き記すものであることを明らかにしている。そして見返りに、羽賀寺の別当所を若狭浦、阿納浦、福谷、西津、栗田、次吉、熊野、政所谷、奈胡、羽賀に及んで記録し、その広範な勢力圏を示している。
 天文元年(1532)第四代住持台芸がまず年中行事を起こし、次に世上の出来事を記録し始めた。その内容はさかのぼって永正、大永、享禄にも及んだが、台芸の天文23年(1554)に没するまでの天文年間の記録が最も多い。
 その後、歴代の住持がこれを書継いだのであって、筆蹟におおよそ9種あり、用紙を補足して、永禄、天正、寛文、延宝を経て元禄に至っている。
 天文の頃といえば戦国時代末期の動乱のときであり、整理された記録は至って乏しいのであるが、本書は当時の若狭の史実を考える上に頗る重要な手がかりとなるものである。丹後海賊が西津小浜を騒がせたり、盗人蜂起して、若州は前代未聞の混乱の世であったことなど記している。本書は、いわば戦国時代若狭年代記ともいうべき貴重な記録である。