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指 定 |
所在地 |
管理者 |
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平成11.4.23 県指定 |
小浜市羽賀 |
高野山真言宗羽賀寺 |
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大般若経は、唐の玄奘三蔵がインドから持ち帰り漢訳した経典で、十六の経典を結集して六百巻からなる一大叢書であり、日本でも早くから輸入され奈良時代以降、顕密両教で重んじられ、多く書写された経緯が知られる。
釈迦十六善神像は、この経典の転読を行う「大般若会」の本尊として祀られる掛幅で、主尊である釈迦三尊と同経の護封神である十六の善神像を描いた画像である。
本図の図様は、天に華麗な天蓋を描き、釈迦如来は、金泥身で切金文様のある衲衣を着け、獅子宝座の上に結跏跌座する。頭光・身光とも群青地の重圏を作り、十三本の切金光芒を発する。脇侍の普賢・文殊両菩薩は、立像に表され、その前に僧形の法涌と菩薩形の常啼を描く。
これら諸尊の両脇に武装した八尊づつの忿怒善神像を配置し、さらに、その下方両脇に、大般若経の笈を背負う玄奘三蔵と、彼を守護した力士形の深沙大將を配する。
本尊以外の諸尊は、いずれも極彩色で、所々に金泥の盛上げ彩色を施し、緑青に賦彩された湧雲上に描かれる。
本図は、縦109.9p×横51.2pの緻密な織目の絵絹に描かれるが、金泥の盛上げ彩色が多用され、表現が穏やかとなることなどから伝統的な絵仏師の手になるものと見られ、南北朝時代頃に制作されたものと考えられる。
同寺には、いま明応5年(1496)書写の奥書のある大般若経六百巻があるが、本図はこれよりもやや遡るものであり、この大般若経とは伝来を異にするものであろう。
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