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加茂神社


加茂神社のオイケモノ


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指 定 所在地 管理者
平成6.5.20 県指定
平成19.1.19 国選択
小浜市加茂 加茂区


 古来「上宮の神事」と称されるこの年占は、当社「宮の森」の社叢の中、古代のままの神籬・磐境を神座とする上宮伝世の秘儀で、その起源は上宮鎮祭の古代にまで遡るものとみられている。
 この神事の斎行は、毎年旧暦1月16日で、定刻、区長はじめ神事の諸役が社務所に参集、この日埋納する7種の物実「野老、栗、椎、干柿、銀杏、団栗、榧実」を、杉材の縦、高さ各10p、横20p、13個の小孔を穿った小箱に収納するが、その際、楕円形の牛の舌と呼ばれる餅を上下に籠めて密閉する。
 諸役は、この小箱をはじめ神饌、弓矢等を奉持して下宮に参進拝礼。ついで上宮参進の途次、歩射(弓打ち)神事を執行、上宮では神座の前に先の小箱・神饌類を供献拝礼。神酒拝戴のあと、神座右方の欅の老樹下に自然石で構築の石室(深さ約50p)上部の土石を除去、前年の小箱を取り出して今年の小箱を奉鎮、神酒を振り灌いで清祓し、旧の如く土石を積み戻して隠蔽し祭儀を終る。
 諸役は、この後社務所で清洗された小箱を前に着座、やがて区長が徐に蓋を開いて、占象となる芽出ちの模様を調べ、五穀の豊凶を占断する。諸役も順次これを拝見のあと、直会に移り神事の一切を終るのである。
 『社寺由緒記』に「上宮は山神」との異称を記すが、この物実はすべて山神の好む供物であり、縄文時代より近代に至る日本人の大切な採集食物であることを思えば、長大な龍蛇神の伝承を遺す神秘な山の神の広庭に、神意体現の物実を埋め、天地の意志を芽出ちに察するこの占法は、まさに貴重で素朴な神事といえよう。