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指 定 |
所在地 |
管理者 |
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昭和46.11.20 市指定 |
小浜市加茂 |
加茂神社 |
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この面は翁の舞にもちいられたものである。翁の舞は平安時代の中期に翁猿楽として発生し、当時は仏教寓意のものであったが、室町時代に神道と結びついて天下泰平、国土安穏の祈禱として扱われるようになり、翁の神事能ができた。古い形の翁舞は、翁と父尉と三番で式三番を舞ったが、鎌倉時代には延命冠者がふえ、露払いの千才の舞も加わり、更に進んでは、父尉も延命冠者も省かれるようになった。翁の面と父尉の面がそろっている点から見ても、この面の古さが考えられる。
面の材料は、両面ともクスの木で作られている。室町中期以後はひのきを用いるので、くすを使ったのは時代が古いことを表わす。また塗料は桃山時代以後は胡粉を用いるが、その以前の面には白土が塗られている。両面とも塗料は相当剥げているが拡大鏡で見ると、父の尉の面には白土の中の雲母粉がきらきら光って見える。鼻の下面、穴の線など比較的平らで素朴な感じがする点など総合すると、これらの面は室町中期までの作と断定できる。両面ともボウボウ眉(綿あるいは絹糸や兎の毛などをはりつけた飾り眉)は、すっかり取れてしまって何を用いてあったか不明だが、あとだけが残っている。父の尉の綿は下顎に植毛のないのが普通であるがときには植毛のあるものがあり、加茂の父尉の綿は、その一例である。この父尉の面は、特に彫りも美しく、塗料も極く細かいのを用いてあって、能面研究家も逸品であると驚嘆している。
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