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指 定 |
所在地 |
管理者 |
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昭和53.7.25 県指定 |
小浜市遠敷 |
中村区 |
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遠敷中村区有の大般若経600巻は藤原行直が、若狭国分寺へ奉納したものと言われている。明治末期迄中村区に芳松庵(国分寺諸堂中の一、上之堂跡と伝う)があり、この経は上之堂から芳松庵に受けつがれ、現在は中村区地蔵堂の側に新たに建立された経堂内に収蔵されている。
遠敷一区所有の重文大般若経には奥書がないのに比べこの経は、先年行われた「若狭地方古文書調査報告書」によると、自巻一至巻百、自巻四百一至巻六百の300巻中、40余巻に奥書があり、その大半は願主大檀越藤原行直の名があり、また巻441他に文治元年(1185)歳次乙巳奉儲此経散位佐伯重清。巻73に明徳2年(1391)辛未8月15日終筆功了、庶那資賢祐。巻19には承元3年(1209)大才乙巳8月15日、於遠江国府中朝日寺書写。等があり、遠江国府中において書写されたこと、年号では文治元年(1185)より明徳2年(1391)に至る206年間に現存の600巻が完備されたこと等が明らかである。尚筆者名は上記の他に「僧源心、僧 文智、僧覚純、比丘道哲、遠州行得、沙門海」等以上9人があり、写経年次は必ずしも各巻年代順には書かれておらずその構成については明らかではないが鎌倉初期の写経であって、その後散逸していたものを補完し、全巻完備されたものが現在の大般若経と思われる。巻子装で巻第一の法量は縦24p×全長8.5m、紙数17紙である。遠敷一区の重文大般若経(平安初期)と共に同中村区に鎌倉時代の大般若経が完備して伝承されたことは対照的でもあり、貴重な経巻である。
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