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遠敷一区


紙本墨書大般若経 600巻


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指 定 所在地 管理者
昭和44.3.15 国指定 小浜市遠敷 遠敷一区


 紙本墨書大般若経は龍雲山神通寺境内の土蔵様式収蔵庫に収められている。もと若狭一の宮の神宝として下社に納められてあったものを、維新に際して神仏分離の処置として、遠敷区にその管理を委ねたもので、いまは区有物となっている。
 遠敷明神を中核にするこのあたりの物語には、いろいろの伝承を秘めていて、その由緒や縁起におもしろいものが多い。そのひとつにこの大般若経600巻がある。
 平安時代の始め、弘法大師諸国巡錫のとき、若狭に来て三方石観音を一夜の中に刻んだり、或いは妙楽寺を建立したりしたことは有名であるが、この大師に「遠敷明神が女身を現してまみえ、仏果を成さんとして国家鎮守のために大般若経600巻を所望したまふ」と告げられたので7日間の内に大急ぎでこれを写し、明神に授けられたという。
 この600巻は、表紙朽葉色雷文・黒漆塗の軸の巻子本で、第1巻は縦25.5p×全長9.65m、17紙を使用し、1紙27行、1行に17字が書かれ、落ち着いた書風、速力の早い筆法力等、筆跡の異なるものが14〜5種類あって、14〜5人のすぐれた写経生によって書かれたものと思われる。また奥書がないため時代の決定には決断を欠くが、筆法や紙質からみて、平安時代初期のものとみてよいとされている。
 この巻物の裏打ち修理の記録が室町初期応永19年(1412)になされたことが明らかであり、また江戸時代に唐ひつ6合を新調し、いまでも立派に保存されている。