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指 定 |
所在地 |
管理者 |
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平成11.4.23 県指定 |
小浜市金屋 |
高野山真言宗萬徳寺 |
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文殊菩薩は維摩との問答により釈迦の弟子の中でも知恵第一と言われ、象に乗る普賢菩薩とともに釈迦の脇侍としてよく知られている。その姿は獅子に乗り、独自の髻(一髻・五髻・六髻・八髻)を結う童子形に表わされるが、他にも稚児や僧形などの作例があって広く信仰されている。
本図は五髻を結う童子文殊で、顔つきは幼顔をのこしながらもりりしく、体の肉付きも少年らしくふっくらした柔らかな表現をしている。左手には青蓮華(優鉢羅)、右手には経巻を捧げ持つ姿で、身にまとう衣の端には明らかに宗画様式の摂取がうかがえる。
文殊の四方には四天王が配され、右下が持国天、左下が増長天、左上が広目天、右上が多聞天である。
文殊菩薩は頭上に天蓋を戴き、さらにその上に九曜星を配置している。この九曜星は星宿の中の北斗七星を尊像化した七曜に、羅睺星と計都星を加えて九曜としたもので、白円相の中に諸尊を描いている。その配置はまず中央に木曜(官人姿)を据え、その上の左右に日曜と月曜、下の左右に水曜と金曜、そして外側に火曜(忿怒姿)土曜(老人姿)、および羅睺、計都星を置く。
法量は縦130.9p×横45.9pで、やや荒目の絹に描かれており、文殊と星宿とが同一画面に表わされる例はあまりなく、前代の仏画様式を踏まえつつ新様を加えた珍しい曼茶羅である。このような特徴から本図の制作は鎌倉時代中頃と考えられ、萬徳寺仏画の中でも特に異彩を放つ、すぐれた一幅である。
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