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妙楽寺


銅造懸仏 3面

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指 定 所在地 管理者
昭和51.1.22 市指定 小浜市野代 高野山真言宗妙楽寺


 千手千眼円満具足の霊像を安置する妙楽寺本堂内陣厨子の正面上部に、当地方では遺例のまれな3面の懸仏が懸かっている。その1面は扇形薬師三尊坐像、他の2面は円形十一面千手観音坐像である。
 扇形薬師三尊坐像、極めて珍奇な扇形懸仏で銅板張り、銅製の扇骨6本がある。全体の寸法は縦27p、横35.3p、扇面の縦13pを計る。中尊の薬師は半肉浮彫り、蓮台を含む像高は6.5p、連弁、納衣は丁寧に線刻され舟形光背は半肉である。上部に天蓋、左右に花瓶1対が付着し、扇面の左右には大きく脇侍の日光(日輪)、月光(月輪)を浮出して貼り付け、三尊一具の形式を表現する。裏面には墨書で「奉施入 所右志趣者為御正体 可現世安穏後生 善処也 長禄二年(1458)十二月三日願主敬白」の6行銘文があり、その紀年銘から室町中期の制作にかかわることがわかる。
 円形十一面千手観音坐像、2面とも銅板張り、円形で中央に半肉浮彫りの千手観音像を安置する。蓮台を含む像高は2面とも約15p、蓮台は蓮肉、吹き寄せの蓮弁も精巧で、仏像の納衣は裳先まで線刻され、千手部分は別銅板で丁寧に造りつけている。上部に天蓋、左右に花瓶1対が半肉で付着するが、光背の一つは輪光、他は八葉蓮弁の頭光に透し彫りの火焰光と異なり、最大径(33p、30.5p)の他にも異同がある。2面とも墨書銘があり、1面は康永2年(1343)2月12日、千手千眼御正体として奉懸の願意が記されるが、他の1面は判読困難である。この2面はほぼ同時期の制作とみられ紀年銘から南北朝期の制作に係ることがわかる。